SIGGRAPH 2018参加レポート-特別編(VR@50)
はじめに
カブクの甘いもの担当&ヘッドマウントディスプレイが世に出た時と同じ年に産まれた高橋憲一です。
8月の12日から16日までカナダのバンクーバーで開催されたSIGGRAPH 2018の参加レポートの特別編として、VRについてのセッションの情報をお届けします。
(前編はこちら)
ヘッドマウントディスプレイ50周年
Ivan Sutherland氏によってヘッドマウントディスプレイ(以下HMD)が初めて開発されてから50周年を記念して
「VR@50: Celebrating Ivan Sutherland’s 1968 Head Mounted 3D Display System」
というパネルセッションがあり、当時関係者だったレジェントたちからの話を聞くことができました。
Sutherland氏の話
VRのゴッドファーザーと呼ばれるSutherland氏からは、HMDシステムはヘリコプターの会社の暗視カメラと連動するヘルメットにインスパイアされたといったようなこと等の様々な裏話があったのですが、殆どスライドを使わずに約30分話し続けていました。
氏の話が終わった後にはスタンディングオベーションが起こりました。こうした技術カンファレンスでスタンディングオベーションが起こる場に居合わせたのは初めての経験です。
投影の仕組み
現在のように有機ELや液晶のパネルなど無い時代、ディスプレイとして小型のブラウン管を使用していたため高圧電流が流れる(危険な)機器を頭に装着することに…
トラッキングの仕組み
超音波を使ったものとメカニカルなシャフトを使うものとの2種類で実験していたとのことです。
超音波を使うものは不安定だったようですが、
メカニカルなバージョンの方は下記写真のスライドに「SWORD OF DAMOCLES(ダモクレスの剣)」と表現されるほどの大きなシャフトが天井からぶら下がっており、そこに繋がることで回転や移動をトラッキングしていうことで、何とも大掛かりな仕組みです(これに比べれば現在のOculus RiftやHTC VIVE等のHMDの後ろから伸びてPCに繋がるケーブルなんて大したことないと思えてしまいますw)。
HMDを通して見えていたもの
HMDのHello World
ワイヤーフレームで、ドアの部分には方向を示すS, N, W, Eの文字があります。
この装置は今何処へ
これだけの装置がその後どこに行ったのかということも気になる話です。
1968年の夏にはユタ大学に移され、後にSilicon Graphicsを設立することになるJim Clark氏が論文を書くために使ったとか、「Final resting place(永眠の地)」はシリコンバレーにあるコンピューターヒストリーミュージアムとのことです。(現在は写真のみの展示のようです)
最後の360°記念撮影
セッションの最後にはスピーカーと参加者全員で、Googleのライトフィールドカメラを使って360°記念撮影が行われました。
現在はGoogleでVRの研究をしているPaul Debevec氏の操作で撮影が進められたのですが、今年のSIGGRAPHのテーマはGenerationsということで、正にレジェンドから新しい世代との繋がりを見ることができた気がします。
そのライトフィールドカメラで撮影される側から見た様子をVR180カメラ(Lenovo Mirage Camera)で撮影した動画もこちらにあります。中心にあるカメラアレイがゆっくりと回っている間、「これ、やっぱり動いたらまずいんだよな…」と思いながらじっとしている皆さんを見ることができて、なかなかシュールな絵になっておりますw (この動画はCardboardやDaydreamで見ると立体視することができます)
このセッションについてはSIGGRAPH公式のブログの記事と収録された動画もあります。私のこのブログ記事では書ききれないことも多々ありますので、ご興味のある方はぜひ見て頂ければと思います。
後編へつづく…
VR@50のセッションについて書き綴っているうちに、思いの外長い記事になってしまいました。そこでこの記事は特別編として、最新のVR/AR関連の情報については後編として別に公開します。お楽しみに!
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